りんごとともに歩んできた利根沼田の甘く酸っぱい歴史。
りんごの木々が語るストーリーを感じてみてください。
利根沼田地域でのりんご栽培は、1900年代初頭に始まったとされています。
最初のりんご園は比較的標高が高く、昼夜の温度差が大きい地域で作られました。冷涼な気候はりんごの成長に非常に適しており、特に糖度が高いりんごが育ち、品質の良さも評判となって、次第に栽培農家が増加していきました。
最初に栽培されていた品種は、主に日本の伝統的な品種である「金星」や「つがる」などであったと考えられます。
利根沼田地域のりんご栽培は、養蚕などに代わって戦後の高度経済成長期に本格的に発展しました。
この時期、農業技術の向上や品種改良が進み、さらに多様なりんご品種が導入されました。特に「ふじ」などの新しい品種の栽培が広まり、現在の利根沼田地域のりんご園の基盤が作られました。
1960年代に登場した「ふじ」は、非常に甘くてシャキっとした食感が特徴で、商業的に成功した品種です。利根沼田地域でも、この品種の栽培が急速に広がり、現在でも最も主要な品種となっています。
利根沼田地域ではりんご園の規模が拡大し、より多くの農家がりんご栽培に取り組むようになりました。
この時期、農業機械の導入や栽培技術の向上、また収穫後の保存技術や出荷方法などの処理技術も進化しました。
地元の農家は、持続可能な農業を実現するために努力し、品質の良いりんごを安定的に生産するためのノウハウを蓄積しました。
利根沼田地域では観光業が盛んになる中で、りんご園の観光資源化が進みました。
特に、りんご狩りが地域の観光資源として注目され、農業体験を提供する農園が増加しました。
特に家族連れや団体観光客にとってりんご狩りは地域の名物となり、観光業の一翼を担っています。また、地元の農家は直売所を開設し、収穫したばかりの新鮮なりんごを販売するようになり、観光客や地域住民にとって新鮮なりんごを手に入れるための重要な場所となっています。
現在の利根沼田地域のりんご園は、農業と観光の両方において重要な役割を果たしています。
地域の農家は、品質向上や品種改良、環境保全に注力しながら、地域ブランドを確立するための努力を続けています。先代から受け継いだ農園を2代目や3代目の生産者が主に経営しているが、首都圏に近い地理的条件を活かした観光農園の運営が、この地域の大きな特徴です。そのため、群馬のりんごは、もぎ取りや沿道での直売、宅配などの贈答販売が中心なので、「樹上完熟」のおいしいりんごが楽しめます。「樹上完熟」とは、樹の上でしっかりと完熟させてから収穫することです。
早生種である「おぜの紅」から中生種の「あかぎ」「紅鶴」「陽光」、晩生種である「新世界」「スリムレッド」「ぐんま名月」まで、県の育成品種によるリレー販売が可能となっています。